設計方法 
  • オート・トレースは並列回路型と自己制御性の特性から、放熱量が計算できれば、誰でも簡単に設計ができます。このため、レイケム社では、配管、バルブ、タンクの簡易放熱量表を用意してありますので、複雑な計算をしないで放熱量を算出することができます。
    設計条件
     .配管のサイズ=50A
     .保持温度=10℃(水)
     .最低外気温度=-10℃
     .温度差=20℃
     .保温材=グラスウール25t
     .使用電源=100V単相

    以上の条件より、放熱量を表を使って算出します。
     .放熱量=8.1W/m
     3BTVI-CTを使用するとして、別途製品カタログの設計
    出力特性より保持温度に対する設計出力は
     .設計出力=8W/m(10℃の時)
    設計出力と放熱量がほぼ同一であるから、配管にストレートにトレースすればよいことになります。設計条件によっては、設計出力が放熱量を下回ることもありますので、この場合は、オート・トレースをスパイラル(ら巻状)にトレースすることにより、熱量の不足を補います。

  • 基本的には常にストレート・トレースに施工できるように設計した方が施工が容易であるため、保温材の厚みを変えてストレート・トレースになるようにします。但し、チョコレート、液糖のような食品の場合には、製品に品質管理上配管全体に、一様に加熱するために、わざわざスパイラル・トレースになるよう設計する場合もあります。

  • 実際の配管ラインは、数種類の太さの配管と、バルブ、ポンプ、ストレーナー、フランジ、サポート部、各種計器等が組み合わされたもので、全体は均一な放熱量の状態でないのが普通です。したがって、一本の電気ヒーターで全体を均一な状態で加熱することはなかなか困難で、机上で設計した通りには運転されず、定出力型のヒーターを使用した場合には、局部的にオーバー・ヒートしたり、または温度低下をしたりして、時々運転に支障をきたすことがあります。
     この点、オート・トレースは自己制御性が機能するので、上記のような心配は全くなく、同じような方法で設計しているようでも、その内容は、電熱線ヒーターの場合と比較して、大きく異なります。
     ただ、オート・トレースの場合、設計出力が保持温度によって、その値が変わることだけ特に注意してください。
 施工方法 
  • 施工概略は第6図に示す通りであります。設計通りに所定のオート・トレースを、配管にグラステープで取り付けるだけのことで、熟練した技術は全く不要です。オート・トレースが配管から浮き上がっても、交差しても、ホット・スポット、あるいはオーバー・ヒートの事故は起きませんので、絶縁被覆に傷をつけないようにだけ注意してください。
 第6図  代表的な施工例
 認  可 
  • オート・トレースはJIS適合品(第三種発熱線)で、電気設備技術基準に適合するシステムとして非危険場所におけるパイプライン等への施設ができます。また、1種または2種に相当する危険場所においても、IECに整合した専用の形式認可システムにより、その施設が可能となります。なお、既に世界主要各国の非危険または危険場所での施設認可も取得しており、輸出プラントへの適合面でも充実したシステムの提供が行えます。

    海外主要各国の認可は次の通りです。
     アメリカ:UL,FM,USCG
     カナダ:CSA
     イギリス:BASEEFA
     フランス:LCIE
     ベルギー:INIEX,CEBEC
     オランダ:MVSZ,DGVA
     ノルウェー:NEMKO,DNV
     スウェーデン:SEMKO
     ドイツ:PTB